2013年10月30日水曜日

DSM-5について:Anno Job Logより

以前、このブログでDSM-5の
Female Sexual Interest/Arousal Disorder」(女性の性的関心/興奮障害)
http://yukieba.blogspot.jp/2013/07/dsm-5female-sexual-interestarousal_2532.html)と
Male Hypoactive Sexual Desire Disorder」(男性の性的欲望低下障害)
http://yukieba.blogspot.jp/2013/08/dsm-5male-hypoactive-sexual-desire.html)について書きました。

先日ブログ「Anno Job Log」にて、DSM-5のasexualの記述について指摘がありました。
Anno Job Log:[考察]DSM5ではasexualは除外診断。
http://d.hatena.ne.jp/annojo/20131021#p1
これを受けて、DSM-5を読み直しました。

女性の方(Female Sexual Interest/Arousal Disorder)では、434ページ、「Diagnostic Features」の終わりに出てきます。その文を引用します。
If a lifelong lack of sexual desire is better explained by one's self-identification as "asexual," then diagnosis of female sexual interest/arousal disorder would not be made.
私なりに訳すと、「もし生涯にわたる性的欲望の欠如が、エイセクシュアルであると自己同定することでより良く説明されるならば、女性の性的関心/興奮障害の診断はなされないだろう。」 。
簡単に言うと、一生にわたって性的欲望がなくても、当事者が自分はエイセクシュアルだから、と納得しているなら、その場合は病気とはみなさない、ということだと思います。

男性のほう(Male Hypoactive Sexual Desire Disorder)では、443ページ、「Differencial Diagnosis」の終わりに出てきます。引用します。
If the man's low desire is explained by self-identification as an asexual, then diagnosis of male hypoactive sexual desire disorder is not made.
「もしその男性の(性的)欲望の低下がエイセクシュアルであると自己同定することで説明出来るならば、男性の性的欲望低下障害の診断はなされない。」。

女性、男性ほぼ同じ意味であるのですが、細かい点では違いがみられます。女性については「lifelong(一生にわたる)」とあり、「lack of sexual desire」、「better explained」、また「would not be made」(〜だろう)となっており、断定をさけています。
一方男性の方では「lifelong」は無く、「low (sexual) desire」、「explained」、そして「is not made」と断定形になっています。

エイセクシュアリティへの配慮がなされていることを知る事ができ、よかったです。
ただ、たとえDSM-5がエイセクシュアリティのことを記述していても、自身をエイセクシュアリティと認識している人は、そもそもクリニックに行かない気がしますが・・
エイセクシュアリティという概念、用語が普及しないことには、自身をエイセクシュアリティと同定することもできません。私にできるのは今後も用語の普及への努力を地道に継続することでしょう。

2013年8月13日火曜日

エイセクシュアリティとDSM-5(2):Male Hypoactive Sexual Desire Disorderについて

http://yukieba.blogspot.jp/2013/07/dsm-5female-sexual-interestarousal_2532.html
の続きです。今回の記事ではMale Hypoactive Sexual Desire Disorder(男性の性的欲求低下障害)についてみていきます。
なお以下の翻訳も坂口ユキエによるもので、私は精神医学の専門家ではないことをお断りしておきます。

---------

A.性的行為のための性的/エロティックな思考もしくはファンタジー、および欲望が、持続的もしくは反復的に、不足(あるいは無い)状態

B. Aの基準における症状は、少なくとも約半年間の持続を続ける(坂口ユキエ注:原文も意味が二重になっています)

C. Aの基準における症状は、臨床的にその個人に著しい苦痛を引き起こす。

D. 性的機能不全は、性的でない精神障害、もしくは深刻な関係の苦痛の結果、もしくは他のストレス要因によって説明されるのはベターでない。また性的機能不全は物質あるいは投薬の結果、もしくは別の医学的症状の影響に因るものではない。

-----------
B以下は女性(Female Sexual Interest/Arousal Disorder)のとほとんど同じです。
女性のほうがAの診断基準の内容が詳しく書かれています。


【2013年10月30日追記】
追加情報があります。
「DSM-5について:Anno Job Logより」
http://yukieba.blogspot.jp/2013/10/dsm-5anno-job-log.html

2013年7月23日火曜日

エイセクシュアリティとDSM-5(1):Female Sexual Interest/Arousal Disorder(女性の性的関心/興奮障害)について

今年(2013年)、American Psychiatric Association(アメリカ精神医学会)によるDSM(Diagnostic and Stastistical Manual of Mental Disorders、精神障害の診断と統計の手引き)の第5版が発行されました。


DSM-5

これを購入したのには理由があります。以前からDSMのHSDD(Hypoactive Sexual Desire Disorder、性的欲求低下障害)とエイセクシュアリティの関連性については英語圏で言われていました。(「HSDD asexuality」でグーグル検索すると、いろいろ出てきます)
DSMは日本の精神医療で用いられる基準の一つです。なので、今年第5版が出ると知り、いずれ日本語版も出ますけれども、オリジナルの文をチェックしておきたいと思い購入しました(一万円以上しました>_<;;)。
※私は精神医学の専門家ではないので、あくまでも参考にとどめてください。ほとんど日本で紹介されていないため、やむをえず私が書いています。以下の翻訳も私がしています。


2013年6月23日日曜日

Huffington Postのエイセクシュアリティ・シリーズ全6回

今月、HuffingtonPostで「Asexuality: The 'X' In A Sexual World」と題して、全部で6回記事が掲載されました。執筆者はDominique Mosbergen氏です。以下各回のタイトルと記事へのリンク。

第一回「What Is Asexuality? A Community's Coming Of Age

第二回「Asexual Disorder? The Search For Ace Identity Is Part Recognition, Part Redefinition

第三回「Asexual Relationships, Masturbation And Romance In The Ace Community (INFOGRAPHIC)

第四回「Battling Asexual Discrimination, Sexual Violence And 'Corrective' Rape

第五回「LGBT, Asexual Communities Clash Over Ace Inclusion

最終回「Asexual Community Leaders Look Toward The Future

英語圏(特にUnited States)のエイセクシュアルの置かれた状況を知る上ではよくまとまっていると思います。おすすめです。

ページビューの合計