2019年6月19日水曜日

Asexual Activism World Vision:英語圏中心から地方分権へ―2 [Nihongo Version]

〔こちらは2015年6月にフェイスブックに投稿したものです。〕

2.変化
 
去年あたりから、英語圏に対する疑念がネット上で出てきました。
口火を切ってくれたのは、オランダ人asexualityのTristfereのTumblr
http://tristifere.tumblr.com/post/85748753634/lets-make-the-ace-community-truly-international
それとKatieの
https://asexualagenda.wordpress.com/2014/07/26/my-fellow-ace-americans-international-spaces-and-mediating-our-voices/
あたりです。

これらを受けて、asexualityのオピニオン的ブログ「The Asexual Agenda」(https://asexualagenda.wordpress.com/)にて、非英語圏のasexualityにインタビューをする企画ができました。
なお、Siggyのこの文は率直に英語圏の支配性を認めています。

”The tendency so far, is that voices from the US, Canada, UK, and Australia dominate the discourse, and universalize their own experiences.”
[https://asexualagenda.wordpress.com/2014/07/28/call-for-international-voices/  より]

3.非英語圏の私たちはどうアクションを起すべきか?

そして、冒頭に書いた通り、今年の会議からは「World」の文字が消えました。自分達の会議は世界のasexualityを代表するものではないとの意思表示でしょう。私たち非英語圏のasexualityは、もはや英語のalternateな存在ではありません。私たち自身、各自の地域において、独自の活動を展開し、その結果を他の地域のasexualityたちと分かち合う時代に来ていると、私は思います。(もし実際に会って分かち合うとすれば、日本の場合、近隣諸国との分かち合い、すなわち東アジア圏asexuality会議が最も現実的でしょう。)つまり、英語圏中心から、地方分権の時代に入ったということです。かならずしも、英語圏のやり方を真似る必要は無いのです。
4.私の場合

ここで、参考までに私自身の活動のあり方について、述べておきます。

(1)地域密着型の活動

私は、ネイティブの日本人であり、日本の特に豊橋市という地域に根付いた活動をしています。なぜなら、asexualな人が存在することを知らない人にとっては、直接会って話すことは「実際に存在している」というリアリティを得てもらう上で大事だと考えるからです。

(2)asexualityオンリーのコミュニティは作らない

よくasexualだけのコミュニティがオンラインでも散見されますが、私自身は過去の運営経験から、asexualだけでコミュニティを運営する事は全く考えていません。日本のasexualityコミュニティの特徴として、「自分達から外部への継続的な働きかけが起きない」があります。Outreachにつながらないというのも、コミュニティを作らない大きな理由です。

(3)平和的に、性的マジョリティを意識した活動を行う

これは2013年に来日したヒューマン・ライツ・キャンペーンのBrian Moulton氏の発言も影響しています。モールトン氏はアピールの際にも「Gay Marriage(同性結婚)」でなく「Marriage Equality(平等な結婚を)」といった表現に変えていることを話しました。私の解釈ですが、自分達LGBTの権利を主張するというよりは、平等さを求める穏当な表現に変化しています。

私は、日本文化圏で活動するのであれば、日本文化に合わせた活動をしていくのが妥当だろうと考えます。日本人は普段の生活において権利権利と主張する事が一般的ではないと私は思っています。ですので、あまり性的マイノリティの権利を認めよといった方法ではなく、性的マジョリティとともに生きていくという姿勢を全面に出していったほうが、日本文化圏で生きる人々に受け入れられやすいだろうと考え、実行しています。

Asexual Activism World Vision:英語圏中心から地方分権へ―1 [Nihongo Version]

〔こちらは2015年5月にフェイスブックに投稿したものです。〕

[For Asexual People: I say in the text, the transition from English-speaking Centricity to Decentralization of Power. So I write with my mother language Nihongo, at first.]

今年、カナダのトロントで行われるasexualityの大規模な会議の名称は、北アメリカエイセクシュアリティ会議「 North American Asexuality Conference 2015」です。
https://www.facebook.com/events/1583426118599911/ 

今まで英語圏で開催される大規模な会議は、「世界会議」と称されていました。
たとえば、2014年はカナダのトロントで開催されました。
https://www.facebook.com/awp2014

2012年は、ロンドンの会議です。https://www.facebook.com/aceworldprideconference2012?fref=ts
http://www.asexuality.org/en/topic/75347-announcing-the-conference/
(なぜか字体が強字になります)

今年はその「世界」が名称からなくなり、あくまでも北アメリカエイセクシュアリティ会議という名称になりました。
ちなみに今年の会議は、去年の世界会議を引き継いでいるとのことです。
http://www.asexuality.org/en/topic/108773-the-2015-north-american-asexuality-conference/#entry1060940281

この名称の変化には、様々な動きが関与していると私は思っています。
具体的に言えば、英語圏=世界もしくは中心といった、思い込みへの異議申し立てです。
 
―――
1.英語圏への違和感〜わたし自身の経験から

asexualityを自覚した人の多くは、AVEN(www.asexuality.org)を一回は見る事になります。
例によって私もAVENに行きました。
そして、AVENの「Alternate Language Forum」
http://www.asexuality.org/en/forum/23-alternate-language-forum/

を見る事になります。ここは具体的には、英語以外の言語のためのフォーラムです。

Alternateとは、「代替の、代わりの」といった意味です。
これって何にとっての「代替」か?といったら、それは英語でしょう。
私にとって日本語は母語ですけれども、それは「代替」である、と突きつけられたことはやはりショックだったと思います。
(なぜ「Non-English Language Forum」などにしなかったのか、よく分かりません。)

私は英語圏で最も発言している(最近さぼってますが)ネイティブ日本人asexualityらしいです。
そのため、いろいろな非日本人asexualityからメールやメッセージをもらいます。特にこれから日本に行きますといった人が多いです。
今でも覚えているのが、何年か前に、日本に来る予定のアメリカ人からもらったメッセージで、

「日本にも(AVENの)支部があるんですね」

という内容です。
たぶん彼女は悪気はなく、これから行く日本にもasexualityのコミュニティがあるんですね、と言いたかったんだと思います。
しかし当時英語圏に対しナーバスになっていた私は、

「じゃあ、(支部というなら)本部はどこですか?」

と聞き返したことがあります。
無意識のうちに英語圏(さらに言うとアメリカ)が主導、という意識が彼女のうちにあったのだと思います。
 
 
AVENのプロジェクトチームメンバーと連絡を取ったときも、彼らは「助けます」という好意的な態度で接してくれました。
しかし、微妙にそこには「自分達のほうが上」、という認識を根底に感じていました。
なぜ、非英語圏のわたしが「助けられる」側なんですか?
 
実際、彼らの資料は英語なので、日本語に翻訳しないと使えないし(翻訳する手間は誰がするのですか?私ですよ)、日本の文化に沿ったものではないから、こちらでアレンジしないといけません。
(たとえば、資料でasexualityに寄せられる質問として、「宗教上の理由で禁欲しているのか?」というのが出てきます。しかしながら、日本人asexuality同士で宗教的にasexualityであるのかという話は私はほとんど聞いた事がないです・・)
 
 
英語圏asexualityの人は動画でアピールすることが多いです。
ですが、非英語圏の人間である私はヒアリングができません。
テキストだったら、ゆっくりでも辞書を使いながら読めます。しかし聞く事はスピードが必要なので無理なのです。
なので、私は何度か英語圏の動画に対し、「字幕をつけてください」と依頼しています。

最近ですと例えばこちら:https://www.facebook.com/321244788057659/videos/417815741733896/?comment_id=420659068116230&offset=0&total_comments=2&comment_tracking=%7B%22tn%22%3A%22R0%22%7D
(動画再生が始まるので音が出ます)

ずっと英語圏に対し違和感を感じながら活動をしてきましたが、去年辺りから私以外のasexualityたちも声をあげるようになりました。

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